【7月19日 Xinhua News】中国は16日、上海環境エネルギー取引所で全国レベルの二酸化炭素(CO2)排出量取引を開始した。国内CO2排出量の40%以上を占める発電事業者2225社が最初の参加者となった。

 中国電力企業連合会が発表した「中国電力業界年度発展報告2021」によると、20年の全国の発電設備容量における石炭火力発電の割合は49・1%、石炭火力発電量は60・7%だった。同年の火力発電によるCO2排出量を1キロワット時(kWh)当たり約832グラム、年間火力発電量を5兆2800億kWhとして計算すると、累計44億トンのCO2が排出されたことになる。

 今回参加する発電事業者は排出量取引のほか、各地域の電力を保障する重責を負う。広東省では今年1~5月の電力需要が急拡大し、火力発電量は前年同期比45・8%増となった。中信証券によると、石炭スポット価格に基づく1kWh当たりの発電コストは売電価格に迫っているという。

 排出量取引は穏やかに始まったとはいえ、排出削減コストが発電業者の発電コストに影響するのは不可避とみられる。生態環境部の趙英民(Zhao Yingmin)副部長は14日の記者説明会で、「全国のCO2排出量取引市場に関する制度設計では、排出枠配分方法の改善や相殺メカニズム導入などの政策措置を検討しており、これによって市場をリードし、合理的な石炭価格を形成する」と述べた。

 スイス金融大手UBSによると、取引開始当初、非効率的な火力発電事業者は9%の減益となるのに対し、水力発電事業者は7%の増益になるとみられている。(c)Xinhua News/AFPBB News