【7月25日 AFP】イスラエルの占領下にあるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で、退役したボーイング(Boeing)707型機が新しい出発を待っている。パレスチナ人企業家の手によって、レストランとして生まれ変わったのだ。

 60歳の双子の兄弟、アタ・サイラフィ(Ata al-Sairafi)さんとカミス・サイラフィ(Kamis al-Sairafi)さんが近く開業する飛行機レストランは、ナブルス(Nablus)市郊外の孤立した山岳地帯にある。

 古い旅客機の客室は、座席と窓ガラスが取り外され、テーブルが据え付けられる。壁から天井は白く塗装され、床にはウッド風のフロア材が敷かれている。

 店は「パレスチナ・ヨルダン航空レストランと喫茶室サイラフィ・ナブルス(Palestinian-Jordanian Airline Restaurant and Coffee Shop Al-Sairafi Nablus)」と名付け、パレスチナとヨルダンの旗を飾る予定だ。

 水たばこを吸う客のためにパイプを用意し、いずれはイベントスペースとして貸し出しもするとカミスさんは言う。「コックピットは、ここで結婚式を挙げようとする新婚カップルにお似合いの場所ですね」

 20年ほど前、金属スクラップ業者だった2人は、イスラエル北部のキリヤトシュモナ(Kiryat Shmona)近辺に放置されている1980年代製の旅客機の話を聞きつけた。

 1999年、イスラエル人オーナーからこの旅客機を10万ドル(約1100万円)で購入したが、エンジンは取り外されていた。

 イスラエルは1967年以降、ヨルダン領だった東エルサレムを併合し、パレスチナ自治区を占領している。当時も今も、パレスチナには空港がないため、住民はヨルダンまで行かねば空の旅はできない。

 サイラフィ兄弟は、購入したジェット機をヨルダン川西岸へ運ぶため、イスラエルの会社に2万ドル(約220万円)を払った。