【7月15日 AFP】アフガニスタンで旧支配勢力タリバン(Taliban)が支配地域を拡大する中、パキスタン南東部チャマン(Chaman)の国境警備隊は15日、約400人が国境検問所を強行突破しようとしたため催涙弾を使用してアフガニスタン側に押し戻したことを明らかにした。

 匿名で取材に応じた国境警備隊員の一人によると15日朝、約400人の群衆が「強引に検問を通ろうとし、石を投げてきたので催涙ガスを使用せざるを得なかった」という。他の隊員は、「人々が手に負えなくなったため、警棒を使わなければならなかった」と述べた。

 タリバンは前日、この国境のアフガニスタン側にあるスピンボルダク(Spin Boldak)の検問所を掌握した。

 タリバンは、駐留米軍の撤退に合わせて支配地域を一気に拡大させている。タジキスタン国境警備隊も14日、この2日間でアフガニスタンから男児64人、女児113人を含む民間人347人が避難してきたと発表した。タジキスタンの国営通信社ホバル(Khovar)は、「命を守るためタリバンから逃れてきた」との国境警備隊員の言葉とともに、越境途中で乳児2人が死亡したと伝えた。

■米軍、通訳・翻訳など協力者を国外退避へ

 米国は14日、米軍と北大西洋条約機構(NATO)部隊の通訳や翻訳を務めてきたアフガニスタン人の国外退避を今月下旬にも開始する方針を発表した。

 ホワイトハウス(White House)が「協力者避難作戦(Operation Allies Refuge)」と名付けた計画では、通訳とその家族をまず米国外の米軍駐屯地か第三国に避難させる。その後、米国などへの定住を支援する。

 避難の対象は、通訳や翻訳などで米軍に協力した推計1万8000人で、家族も含めると避難者の総数は8万人を超える可能性がある。多くの人は、8月の駐留米軍撤退後に政権奪還を目指すタリバンの報復を恐れている。(c)AFP