【7月15日 Xinhua News】「中国の学者が恐竜の足跡に『のび太』と命名した」というニュースがこのほど、日本で多くのネットユーザーの注目を集めた。

 中国地質大学(北京)の恐竜足跡研究チームはこのほど、四川省(Sichuan)自貢恐竜博物館の彭光照(Peng Guangzhao)氏、葉勇(Ye Yong)氏ら学者や米国、ドイツの古生物学者と協力し、同省古藺県(Gulan)黄荊鎮(Huangjing)で、保存状態の良い恐竜の足跡を発見したと明らかにした。中でも最も重要な発見は、獣脚類エウブロンテス(Eubrontes)の新種の足跡で、漫画「ドラえもん」の主人公「野比のび太」に敬意を表してエウブロンテス・ノビタイ足跡(Eubrontes nobitai)と名付けられた。

 研究チームのメンバーで、中国地質大学(北京)副教授の邢立達(Xing Lida)氏は、この命名が自身の提案で、論文の共著者も全員同意したと紹介。「『ドラえもん』は中国の1980年代生まれ世代にとって、子ども時代の思い出の一つだ。『ドラえもん のび太の恐竜』(1980年)と『ドラえもん のび太の新恐竜』(2020年)は恐竜をテーマにした優れた映画作品で、多くの子どもたちがこの作品を見て恐竜好きになった。中国の恐竜も日本の友人から愛されており、四川省の恐竜の化石が日本で展示され、両国民の友情の懸け橋になっている」と語った。

 2020年7月、黄荊鎮金魚渓の村民が川を掃除していた際に、大水でひっくり返った、表面に四つの足跡がある石の板を発見した。同年8月25日に中国地質大学(北京)と自貢恐竜博物館の古生物専門家がチームを率いて金魚渓を訪れ、恐竜の足跡を詳しく調査したところ、この足跡があった地点に、少なくとも竜脚類の歩行跡4点、獣脚類の歩行跡2点、独立した足跡4点があることを確認した。

 邢氏は、エウブロンテス・ノビタイ足跡が獣脚類の足跡において重要なタイプで、中国に現存する獣脚類の足跡で唯一、ジュラ紀のエウブロンテス足跡模式種と類似点を持つと説明。エウブロンテス・ノビタイ足跡は白亜紀のエウブロンテス足跡種では初の確実な種であり、詳細な研究を経て命名された数少ない新種の足跡だと述べた。

 この発見が日本メディアで報じられると、邢氏には日本のネットユーザーから多くのメールが届いた。邢氏は「現在、中国の多くの機関が、日本の同業者と展示の推進や資料の共有、野外発掘などで協力を続けている。今後、日本を訪問して恐竜の足跡を実地調査し、より完全な恐竜時代のジグソーパズルを完成させたい」と意気込みを語った。(c)Xinhua News/AFPBB News