【7月14日 AFP】シンガポール発着の「どこにも行かないクルーズ」の客船で14日、乗客1人の新型コロナウイルス感染が確認され、予定より早く帰港したと、地元メディアが伝えた。

 寄港しない「どこにも行かないクルーズ」は、新型ウイルス流行で打撃を受けた観光業の復興策の一環として、昨年運航が開始された。

 小さな都市国家シンガポールでは、新型ウイルスの流行は抑えられているが、出入国は大幅に制限されている。「どこにも行かないクルーズ」は、シンガポールを脱出したい人々の間で人気を博していた。

 船は14日朝、乗客1人の感染が判明したことを受け、予定よりも数時間早くシンガポールの港に引き返した。

 ニュース専門局チャンネル・ニューズ・アジア(CNA)はある乗客の話として、未明に船内アナウンスで乗客1人の感染判明が伝えられ、自室に戻るように言われたと報じた。PCR検査で陽性結果が出たこの乗客は、乗船前に別の感染者と濃厚接触していたとみられるという。

 英字紙ストレーツ・タイムズ(The Straits Times)によると、この乗客はワクチン接種を済ませており、乗船前の検査では陰性だった。

 マレーシアの複合企業ゲンティン・グループ(Genting Group)が所有・運航するクルーズ船は11日夜に出港し、4日間の旅を予定していた。

 AFPは、ゲンティンにコメントを求めたが、これまでに回答は得られていない。同社は共有エリアを定期的に消毒するなど、多数の感染防止策を講じている。(c)AFP