【7月18日 AFP】アルバニアの草原に立ち上るセージやラベンダー、ヤグルマギクの香り──。これら薬草の国外での需要が、新型コロナウイルスの流行を受けて急激に高まっている。

 アルバニア南部マリイタテ(Mali i Thate)山の麓にあるシェチェラス(Sheqeras)ではこの時期、ヤグルマギクの青い花が咲き誇る。この薬草は新陳代謝を高め、感染症への抵抗力を強化する効果があるとして伝統的に重宝されてきた。

 早朝、つば広帽をかぶった女性数十人が、チョウやハチが飛ぶ中で色鮮やかな花を手摘みする。

 花は色があせないよう暗室で乾燥させてから出荷される。

 需要の高まりは、自然食品や有機作物への注目に加え、新型コロナの流行で免疫強化の効果が期待できる薬草に関心が集まっていることがその背景にある。

「どんな困難な状況にも希望はある」と話すのは、この地域で薬草を栽培しているアルティン・ジャヤ(Altin Xhaja)さんだ。多くの業者と同じく、ジャヤさんの会社も栽培面積を広げて収穫量の増加を図っている。

 アルバニアが公表しているデータによると、2020年の薬用および香料植物の輸出額は5000万ユーロ(約65億円)、輸出量は前年比15%増の1万4000トンを上回った。

 9人の子どもと40人の孫を持つ地元住民のドラネさん(91)は、長寿の秘訣(ひけつ)は毎朝飲むセージを煎じたお茶だと言う。

「草原に命あり、セージは私の命、私の愛。いつも私を幸せにしてくれる」とドラネさんは述べ、薬草で新型コロナに対抗できると確信していると話した。

 それでも万が一のことを考え、ワクチンは接種したという。

 映像は6月11、16日撮影。(c)AFP/Briseida MEMA