■病院に電力供給

 集合住宅の小さな一室で、ザカリヤ・シンノ(Zakariya Sinno)さんは天井ファンのスイッチを入れ、シリアの革命歌を大音量で流し、太陽光システムの力を示してみせた。

 多くの隣人と同様、シンノさんは屋根に3枚のパネルを設置している。「冷蔵庫や洗濯機、照明はこれで十分」と言う。

 パネルは病院にも設置されている。フランスに本部がある国際NGO・医療救援組織連合(UOSSM)は2017年、イドリブ県の病院に再生エネルギー電力を導入する「シリア・ソーラー(Syria Solar)」と名付けた取り組みを開始した。以後、一つの総合病院にパネルを480枚、別の整形外科病院に300枚を設置した。

 その他、同県や北部アレッポ(Aleppo)県にある40以上のクリニックに技術援助を行い、太陽光システム導入に向けて準備を進めた。

 シリア・ソーラーの創始者タラール・カナーン(Talal Kanaan)氏は、たとえ燃料不足で従来型の発電機が止まっても、太陽光発電ならば「集中治療室、手術室、救急診療」などの機能が保たれると語った。「太陽光エネルギーで、病院のエネルギー消費の30~40%は賄えます」

 映像は6月9、13、27日撮影。(c)AFP/Aaref Watad