【7月14日 AFP】シリアの反体制派が支配する北西部。カボチャやトマトの畑から、大きな太陽光パネルが突き出ている。10年に及ぶ内戦でインフラが破壊された後、この地域では多くの人々が再生可能エネルギーに切り替えた。

「昔はディーゼル発電機に頼っていましたが、燃料不足や価格上昇で苦労しました」と語るハリド・ムスタファ(Khaled Mustafa)さん。イドリブ(Idlib)県で太陽光パネルを設置した多くの農家の一つだ。「そこで、代わりに太陽光発電を選んだわけです」

 300万人以上が住むイドリブ県のほとんどはイスラム過激派など反体制派に支配されている。

 一方、国連開発計画(UNDP)によると、シリア全土の少なくとも90%の地域で電力供給は安定していない。

 反体制派地域では、国からの電力供給は期待できない。代わりに当たり前の光景となったのが、紺青色のシリコン製パネルだ。建物の屋上や病院、さらには広大な避難民キャンプに設置されている。

 かつては煙を吐く小さなディーゼル発電機が、多くの家庭の電力源だった。しかし、度重なる燃料不足でディーゼル油価格が高騰したため、太陽光パネルの方が安価で効率的、そして信頼できる代替手段とみなされるようになった。

 ムスタファさんの農地では、金属板に据え付けたソーラーパネル数台が太陽の動きに合わせて回転する。約20軒の農家による協同組合が2年前、約4000ドル(約44万円)で購入した太陽光パネル200枚の一部だ。3ヘクタールの共同農地と近隣の畑をかんがいする井戸ポンプの電力源となる。

「(国の)電気供給が復活したとしても、太陽光エネルギーの方が安上がりです」とムスタファさんは言う。