【7月10日 AFP】フランス政府は、マルキ・ド・サド(Marquis de Sade)の小説「ソドム百二十日(The 120 Days of Sodom)」の直筆原稿を455万ユーロ(約6億円)で購入した。国宝に指定されており、国外に流出するのを防ぐ狙い。文化省が9日、発表した。

 18世紀の性的倒錯文学の傑作として知られるソドム百二十日の原稿は、何世紀にもわたって数奇な運命をたどってきたが、個人の篤志家からの資金提供でようやく安定した将来が訪れそうだ。

 原稿について、文化省は2017年12月、競売会社に競売から取り下げさせ、国宝に指定して国外への持ち出しを禁じる措置を取っていた。

 文化省が介入する前、原稿は、仏投資会社アリストフィル(Aristophil)が所有していたさまざまな歴史的文献と一緒に競売にかけられる予定だった。

 原稿は、33枚の紙を貼り合わせた長さ12メートルの巻物になっており、それ自体で珍しい形態になっている。

 文化省によると、購入資金455万ユーロ全額を提供したのは、元投資銀行家で投資ファンド「ブサール&ガボーダン(Boussard & Gavaudan)」の共同設立者のエマニュエル・ブサール(Emmanuel Boussard)氏。同省は、この作品を数多くの作家に影響を与えた「金字塔」だとたたえている。

 同省によると、原稿は、フランス国立図書館(BNF)を構成するパリのアルスナル(Arsenal)図書館のコレクションに加えられる。(c)AFP/Antoine FROIDEFOND, Fiachra GIBBONS