【8月22日 AFP】タイでこのほど、高僧が祈念した非代替性トークン(NFT)お守りが登場した。

 人気のインターネットミーム(インターネットを通じて広がっていく文化・行動)やオリジナル作品など、NFTと呼ばれるデジタル資産の販売がここ数か月、アート界で話題となっている。主要競売会社で、数百万ドルで落札されたものもある。

 エーカポン・ケムトーン(Ekkaphong Khemthong)さんは、尊敬を集める高僧が祈ったお守りの収集がタイで広く行われていることに商機を見いだし、NFTお守りを販売する「クリプト・アミュレット(CryptoAmulets、暗号お守り)」を設立した。

 エーカポンさんは「私もお守りを収集していて、どうしたら外国人や世界にお守りを紹介できるかと考えていた」とAFPに語った。

 仏教徒が多数を占めるタイでは、お守りや宗教小物の収集が人気で、首都バンコクにはお守り専用の市場がある。著名な高僧が祈念したお守りは、数千ドルの値を付けることもある。

 エーカポンさんはデジタル版お守りにも、実際のお守りと同じような伝統的儀式を行いたいと考えていた。そこで、タイ東北部の高名な僧侶ルアン・プー・ヘーン(Luang Pu Heng)師にお願いすることにした。

 ルアン・プー・ヘーン師は6月に行われた儀式で、自身の顔が刻まれた暗号お守りのレプリカに祈りをささげた。

 オレンジ色のけさをまとった弟子たちが祈りの言葉を唱え、レプリカが置かれた祭壇に黄色の花びらをまく中、ルアン・プー・ヘーン師はレプリカに聖水をかけた。

 難しかったのは、NFTについて95歳のルアン・プー・ヘーン師に説明することだった。同師は自分が普通のお守りに祈念していると思っていただろう。

「とても難しかったので、簡素化した」と、シンガポール人の開発者ダエ・チャン(Daye Chan)さんは話した。「写真に祈るようなものだと伝えた」

 お守りを暗号資産化することで、市場に流通するお守りについて回る真贋(しんがん)問題も解消できると、チャンさんは言う。