【7月10日 Xinhua News】中国と米国の共同研究チームが甘粛省で発見した巨大サイ「パラケラテリウム」の新種の化石は、古代の大型獣がどのように青海チベット高原を横断したのかを知る手掛かりとなった。新種の発見により、巨大サイが、当時は標高がまだ低かった青海チベット高原を通り、南北に移動したことが明らかになった。

 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所は6日、甘粛省(Gansu)臨夏回族自治州和政県の和政古動物化石博物館と共同で、新種の巨大サイの命名式を開き、発見場所の同省の臨夏盆地にちなみ「臨夏巨犀(パラケラテリウム・リンシアンセ)」と名付けた。研究成果は、ネイチャーリサーチの科学誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」(Communications Biology)に掲載された。

 和政古動物化石博物館の職員は2015年5月、青海チベット高原北東端の臨夏盆地での調査で、赤や黄褐色の砂岩層からばらばらになった化石を見つけた。その後、砂岩層全体を詳細に調査すると、頭蓋骨が完全な状態で出土した。頭蓋骨の長さは約1・2メートルで、下顎骨(かがくこつ)と環椎(かんつい、1番目の椎骨)が付いていた。

 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の鄧濤(Deng Tao)研究員の率いる研究チームが、米ハーバード大学の研究者らと共同で同頭蓋骨を調査したところ、新種の巨大サイはこれまでに知られるパラケラテリウムよりも進化し、体型も大きかったことが分かった。年代測定の結果は、約2650万年前だった。

 巨大サイは、地球上にかつて存在した最大の陸生哺乳類で、体重は24トンとアフリカ象4頭分に相当する。主に中国やモンゴル、カザフスタン、パキスタンなどアジアに生息し、2100万年前に絶滅した。

 鄧氏によると、地球上で最も広く分布したパラケラテリウムには、今回の新種のほか、中国北部に3種、カザフスタンに1種、パキスタンに1種ある。中国北部とカザフスタンの4種は青海チベット高原の北端に点在し、パキスタンの1種「パラケラテリウム・バグチエンス」のみが青海チベット高原の南端に生息していた。バグチエンスは、ユーラシア大陸の他の巨大サイと地理的に隔離されていたため、その起源や進化については長い間不明だった。

 研究チームによると、巨大サイはこれまで、化石が少ないため系統樹を確立できなかったが、臨夏巨犀の発見で、系統や移動経路の解明が期待されるという。研究チームが実施した系統解析法に年代を組み合わせた研究では、青海チベット高原の南北に生息した巨大サイの間に進化的関係があり、臨夏巨犀がバグチエンスの子孫であることが分かった。巨大サイが当時、青海チベット高原を横断して南北に移動したことを裏付けており、青海チベット高原がまだ現在の高さまで隆起しておらず、巨大サイなどの大型哺乳類の拡散を妨げるだけの標高がなかったことを証明した。(c)Xinhua News/AFPBB News