【7月9日 AFP】欧州議会(European Parliament)は8日、中国が香港市民やイスラム系少数民族ウイグル人の人権問題について改善する姿勢を示さない限り、2022年北京冬季五輪への出席を見送るよう欧州連合(EU)加盟国の政府関係者に求める決議を、賛成578、反対29、棄権73の賛成多数で可決した。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相の与党キリスト教民主同盟(CDU)が加盟する中道右派の「欧州人民党グループ(EPP Group)」や、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が支持する中道派など、欧州議会の主要会派全てが賛成票を投じた。決議に法的拘束力はない。

 決議は、EU機関や加盟国に対し「香港、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)など中国国内の人権状況について、中国政府が検証可能な形で改善する姿勢を示さない限り、2022年北京冬季五輪への各国政府代表や外交官の招待を辞退する」よう求めている。

 決議はまた、民主派香港紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」が廃刊に追い込まれ編集幹部らが逮捕された問題を「最も強い言葉」で非難。香港の自由度が国家安全維持法(国安法)の下で低下している現状は、「人権の緊急事態」に相当すると指摘した。(c)AFP