【7月9日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)の島国ハイチのジョブネル・モイーズ(Jovenel Moise)大統領が暗殺された事件で、同国当局は8日、事件に関連しこれまでに6人の容疑者を拘束し、うち1人は米国籍であることを明らかにした。当局はこのほか、容疑者4人を殺害。ハイチの国連大使によると、首都ポルトープランスでは市内2か所の建物に容疑者グループが立てこもり、警察に包囲されている。

 7日に起きた今回の事件は、中南米最貧国のハイチを混乱に陥れた。ポルトープランスの街は緊迫し、商店や銀行、ガソリンスタンドは営業を停止。主要空港も閉鎖され、隣国ドミニカ共和国との国境は封鎖された。暗殺犯の身元や動機は明らかになっていない。

 同市からビデオ会議を通じニューヨークで記者会見したハイチ国連大使は、犯行グループのうち4人が警察により殺害され、6人が身柄を拘束されたと説明。「より大きな容疑者グループが市内2か所の建物に逃げ込み、現在警察に包囲されている」と明らかにした。

 マティアス・ピエール(Mathias Pierre)選挙担当相は、拘束された米国籍の容疑者はハイチ系の人物だと説明。一方で米国務省は、自国民が拘束されたことは確認できていないとしている。

 ハイチでは以前から議会が機能しておらず、国政は大統領命令により行われていた。さらに今回の事件を受け、大統領に代わる指導者となる首相の職を2人の人物が主張する事態ともなっている。

 3か月前に就任したばかりのクロード・ジョゼフ(Claude Joseph)暫定首相は今月5日、モイーズ大統領により後任人事が発表されており、近く退任する予定だった。後任に指名されたアリエル・アンリ(Ariel Henry)氏はジョゼフ氏について、「私の意見では、もはや首相ではない」と主張している。(c)AFP/Robenson GEFFRARD