【7月9日 CNS】中国工業情報化部は通信ネットワーク詐欺対策の電話会議を開き、取り締まりの成果や今後の対策を話し合った。

 電話やインターネットを介した通信ネットワーク詐欺は近年、巧妙かつ多様化している。

 もうけ話などで長い期間をかけてターゲットの信頼を得てから大金をだましとる「賭博殺豚盤」詐欺(「殺豚」は豚にエサを与えてから殺す例え、「盤」はワナの意味)、「楽にもうかる裏バイトがある」と誘ってネットで高額商品を買わせたり手数料名目などで現金を振り込ませたりする「刷単貸款」詐欺、さらに「投資・財務管理」詐欺などが頻繁に起きている。

 2020年には全国の警察が32万2000件の通信ネットワーク詐欺事件を摘発し、36万1000人の容疑者を逮捕した。事件に関連した 2722 億元(約4兆6389億円)の資金を凍結し、870 万人の被害を阻止。計 1876 億元(約3兆1972億円)を取り戻した。

 中国情報通信研究所副所長で情報通信産業詐欺防止センター責任者の魏亮(Wei Liang)氏は「工業情報化部の詐欺対策は成果を上げており、2020年には電話詐欺の平均件数が2016年に比べて43%減少した」と報告した。

 各地域や企業の防止技術が進み、2020年1月14日以降、詐欺に関する7億3000万件の通話と15億5000万本のショートメッセージを止め、1865 万件以上の電話番号を処置した。

 魏氏は「こうした対策に伴い、詐欺の手口は電話からインターネットに移りつつある」と説明。昨年は通信ネットワーク詐欺の85% 以上が通信アプリのQQ や微信(ウィーチャット、WeChat)を通じて行われ、30% 以上が決済アプリの支付宝(アリペイ、Alipay)を使って​不正な金を移していた。

 近年は個人情報の漏えい事件が多発しており、詐欺グループは「闇の産業チェーン」を通じて大量の個人情報を入手。ターゲットを絞った通信ネットワーク詐欺が横行している。

 魏氏は「詐欺の拠点が国内から海外へ移っており、電話やアカウントの転売、個人情報の窃取・販売、ハッキング技術の開発・販売など、闇の産業チェーンは絶えず巧妙化している」と分析している。(c)CNS-法治日報/JCM/AFPBB News