【7月8日 CNS】中国では公衆電話ボックスのような形をした「ミニカラオケボックス」が大都市を中心にブームとなったが、最近は急速に利用されなくなっている。商業施設などに設置されたボックスの多くが、平日は利用者ゼロで週末も2~3組しか訪れない状態に。ミニカラオケの機械が自動的に曲を再生し、音楽を流すだけとなっている。

 無人店舗のミニカラオケはヘッドホンにマイク、いすが2人分あり、客がタッチパネルを使って曲を選び、歌うタイプが多い。2016年から全国に広まり、2018年にはボックスが7万台に達し、市場規模も13億9000万元(約237億円)に上った。しかし、ピークを過ぎると利用者はどんどん減っていった。

 北京市海淀区(Haidian)で2つのミニカラオケボックスの運営を担当している劉さんは「平日はもちろん、週末にも客が来ません」と嘆き、「ミニカラオケがもはや消費者に新しいものではなくなったということですね」と分析する。

 ミニカラオケが登場した当時、この小さなカラオケボックスは消費者に新しいインパクトを与えた。ショッピングセンターや商店街、レストラン、映画館、空港などに設置され、ちょっとした待ち時間や休憩の時間に軽く歌を歌うことができた。しかし、「ただ歌を歌う」ことに消費者が新鮮さを感じなくなった上、多くの業者の参入で立地が悪いところにもボックスが設置され、利用者は増えずイメージもダウンした。

 デジタル・クリエーティブ産業のアナリスト李杰(Li Jie)氏は「次々と新しいブームが起き、消費者の関心が移っている」と指摘。日本のガチャガチャに似た「盲盒(ブラインドボックス)」やUFOキャッチャーのような「抓娃娃機(クレーンゲーム)」、仮想現実(VR)ゴーグルをつけたゲームなどが次々と登場し、ミニカラオケは娯楽市場で「上書き」されてしまった形だ。

 李氏は「限られたスペースで楽しめるミニカラオケボックスはビジネススタイルとしてはまだ有効なので、新しいサービスを提供すれば生き延びることは可能だ」と提言している。(c)CNS-北京商報/JCM/AFPBB News