【7月11日 AFP】子どもたちの笑い声、ヨガ教室、職業訓練──西アフリカ・マリにある女子刑務所は、内戦で荒れ果てたサヘル(Sahel)地域の至る所で見かけるぼろぼろの過密な刑務所とは懸け離れている。

 首都バマコにあるボレー(Bolle)刑務所のさびついたドアと黄土色の壁を通り抜けると、ここが刑務所だとはほとんど分からない。

 女性が雑穀をたたき、子どもたちは保育所の滑り台で遊んでいる。

 長期刑で収監されているマリアム受刑者はAFPに対し、収容されている144人は強い連帯感で結ばれていると話す。「お互いに協力し合っている」が、新参者も歓迎だという。

 ボレーは、2012年から激しい戦闘が続くサヘル地域にある女子刑務所の一つだ。

 男性受刑者やイスラム過激派の戦闘員が収容されている、薄暗くて汚いマリの他の刑務所に比べれば、生活環境ははるかに良い。

 ボレーに収容されている人の大半は、まだ裁判を受けていない。国内の司法制度は人材や資源が不足しており、裁判に至るには時間がかかるためだ。

 中庭にいたナイジェリア人の収容者は、ここで1年7か月間、裁判を待っていると話す。笑顔で「ここはそういうもの」と、なまりの強いフランス語で言った。

 刑務所当局によると、収容されている女性の約3分の2が同じような境遇にある。

 収容者のうち19人は、サヘル地域の周辺国の出身だ。

 ボレー刑務所は1999年に設立された。1991年のマリのクーデターがきっかけとなった。クーデター発生時に男性受刑者らが女性受刑者らを暴行したといわれている。

 ボレー刑務所の収容者の罪状は、幼児殺害や暴行、麻薬取引関与などさまざまだ。多くは、何の罪もない子どもと一緒に収容されている。

 2年前、詐欺で有罪判決を受けた20代のビンタ受刑者は、幼い息子のナビル君と一緒に収容されている。父親は週に数回刑務所を訪れ、ナビル君を街に連れ出すが、刑務所に戻る時間になると、ナビル君は泣き出すと話す。

 夫の複数いる妻の1人を殺した罪で禁錮20年を言い渡されたマリアム受刑者は、「私たちには大統領の恩赦が必要だ」と訴える。

「人間は間違いを犯すものだ」とマリアム受刑者。「この世に完璧な人間なんていない」

 映像は5月に取材したもの。(c)AFP/Amaury HAUCHARD