【7月7日 People’s Daily】湖北省(Hubei)宜昌市(Yichang)の市内から出発して、高速道路に沿って西に行くと、山林の風景が美しい場所に出る。宜昌市五峰トゥチャ族自治県(Wufeng Tujia Autonomous County)橋坪村には、320世帯が暮らしている。

 今まで村の経済は石炭の採掘が支え、多いときでは大小20あまりの採炭場を擁していた。橋坪村の共産党支部書記の鄧鋒(Deng Feng)氏によれば、採掘は山のような借り越しを抱え、日に日に環境は破壊されていった。村の共産党支部は石炭の採掘をやめることを決意する。しかし採掘をやめれば産業がなくなってしまい、村民はどのように収入を得るかが問題になった。

 橋坪村の地理と資源の強みを考え、村は次第に生物資源を生かすモデルに目を向けるようになった。村は平均標高が1600メートルと高く、気温差が大きく、雨量が豊富で、高山植物が分布している。漢方の材料になるハンカチノキ・キハダなどの樹木や、テンマ・パリポリフィラなどの植物が生える。また、春には野に花があふれ、ミツバチが群れをなして蜜を集める。「薬草は日陰を好み、標高の高さも、腐葉土の土壌も必要です。この林はまさに薬草が生える条件を満たしているのです」と、鄧鋒氏は語る。漢方薬の素材のそばで養蜂を行えば、村民の収入に結びつく。ミツバチに蜜を集めさせながら受粉も行うことができ、生産量を引き上げることができる。

 そこで、橋坪村では大多数の村民が木の下に漢方の薬草を植え始めた。村民の韓美伍(Han Meiwu)さんもその1人だ。村の執行部の奨励に従い、韓美伍さんは息子と共に村の合作会社に入り、自らの土地に漢方の薬草を植え、併せて蜂の養殖を始めた。

 韓美伍さんが加入した漢方の薬草を植える会社は、8人の村民が発起したもので、現在すでに100世帯以上の村民が加入しており、去年の生産額は200万元(約3400万円)に迫った。合作会社は率先して各種の薬草育成や栽培の新技術を模索しており、求心力はますます増している。

 2020年、五峰トゥチャ族自治県は2000ムー(約1.3平方キロメートル)の天然林を育てるプロジェクトを完成させた。雑草や低い低木を取り除き、樹木の構成と密度も最適化するよう調整した。林地は間引きされ、日照量が上がり、養分も十分に行き渡るようになり、樹木の質も大きく上昇し、薬草の栽培面積もさらに拡大している。生態系が好転するにつれ、村には農家レストランや民宿で生計を立てる人が現れ、ドライブ旅行や避暑、バカンスなどの目的地として周辺の都市住民から注目を浴びつつある。

 五峰トゥチャ族自治県林業局の唐祖国(Tang Zuguo)局長によれば、現在、県全域で成熟した「林業・漢方・養蜂」産業モデルの土地面積は1万8000ムー(約12平方キロメートル)に達した。

 唐祖国氏が言うには、「林業・漢方・養蜂」モデルの山林地区は模倣し押し広める価値がある。県では多くの漢方薬剤企業と提携し、将来には科学研究機構や高等教育機関の新技術を使って、このモデルをより最適化することを考えている。(c)People’s Daily/AFPBB News