■「コンセプトは現地生産」

 世界人口が2050年までに100億人近くに増えると予測される中、食料生産プロセスの最適化は必要不可欠だ。

 たんぱく質が豊富に含まれるサケは、多くの国々の人にとっていまだ高級品だが、その一方で、増え続ける中間層に新たな需要も生まれている。その傾向は、特にアジア地域で強い。

 陸上養殖の推進派は、こうした養殖に多大なエネルギーが必要となることを認めつつも、消費者までの輸送距離が短縮され、環境には優しいと主張する。

 陸上での養殖事業はすでに世界中で見られる。主にノルウェー、チリ、スコットランド、カナダで育てられている種類のサケが、近い将来には、日本や米フロリダ、中国でも養殖されるようになるだろう。

 フレドリクスタ・シーフーズの親会社、ノルディック・アクアファームズ(Nordic Aquafarms)は、米東海岸メーン州と西海岸カリフォルニア州の計2か所で養殖場の運営計画を進めている。いずれの施設でもアイスランド産のサケの卵を使って養殖する予定だ。

「コンセプトは現地生産。海を渡って別の大陸にサケを空輸する必要はない」とフレドリクセン氏は言う。

 しかし陸上でのサケ養殖は生産コストが高く、海や川での養殖に取って代わるというような段階にはまだない。現状では、補完的な手法として考えられている程度だ。

■「魚は幸せじゃないと大きくならない」

 集約型の生産方法に異議を唱えるNGO「コンパッション・イン・ワールド・ファーミング(Compassion in World Farming)」は、利益を追求すると動物の健康が損なわれると懸念を示す。

 同団体のフランス支部で農業・食料問題を担当するルシール・ベルガルド(Lucille Bellegarde)氏は、サケ養殖で利益を出すには、水1立方メートル当たり50キロのサケが必要だが、現状での平均は同80キロとなっていると指摘する。これは同NGOが推奨している8倍の密度に当たるという。

 こうした懸念について、フレドリクスタ・シーフーズのフレドリクセン氏は、同社の養殖場ではサケの健康に気を配っているため心配は無用だと主張する。

「魚は幸せじゃないと、大きくなりませんから」 (c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES with Nicolas GUBERT in Paris