【7月12日 AFP】ノルウェー南東部フレドリクスタ(Fredrikstad)にある養殖施設では、屋内の巨大な水槽の中で無数のサケが流れに逆らって泳いでいる。

 物議を醸すことの多いサケの養殖業界だが、より環境に配慮し、内陸に施設を設置するケースが増えている。ノルウェーのこの施設も近隣の川を直接的に利用してはいない。

 海や川を利用する従来の養殖方法をめぐっては、さまざまな問題が指摘されてきた。大量のサケが逃げる可能性だけではなく、サケジラミ駆除で使われる薬品の汚染リスク、養殖場周辺のサケの排せつ物や餌の食べ残しによる水質汚染などもある。

 フレドリクスタの施設を運営する「フレドリクスタ・シーフーズ(Fredrikstad Seafoods)」は、遠く離れた米国でも陸上でサケを養殖する計画を進めている。

「海では、あらゆることが神頼みになりますが、陸の養殖場では私たちがすべてをコントロールします」と、フレドリクスタ・シーフーズの本部長であるロジャー・フレドリクセン(Roger Fredriksen)氏はAFPに話した。

「ここでは、温度、酸素、水素イオン指数(pH)、二酸化炭素(CO2)など、すべてをコントロールしています」と、2019年に設置されたノルウェー初の陸上の養殖場を案内しながら語った。

 施設に供給される塩水は、近くを流れるノルウェー最大の川の河口からくみ上げられている。水は紫外線(UV)ライトでウイルスや細菌が除去され、ろ過されて繰り返し使用される。

 食欲を高めるため淡いブルーの照明に照らされた水槽の中をサケは休まずに遊泳する。頭上の給餌機から供給されるペレット状の餌を食べ、体重4〜5キロに成長すると順次出荷される。