■「すべての人の視点」

 もう一人のキュレーター、カーチャ・シェヒター(Katja Schechter)氏は「今日でも、女性は(建設)事業から締め出されています」と語る。

「例えば(中国人建築家の)陸文宇(Lu Wenyu)氏です。プリツカー賞(Pritzker Prize)を受賞したのは彼女の夫ですが、プロジェクトはいつも一緒に進めていました。(受賞した)2012年もそうだったのです」

 プリツカー賞の創設から25年間、受賞者は男性ばかりだった。ガラスの天井を打ち破り、初の女性受賞者となったのは、イラク系英国人建築家、ザハ・ハディド(Zaha Hadid)氏だ。同氏が設計した米オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)の現代美術センターが2004年に評価された。

 それに続く女性受賞者は妹島和世(Kazuyo Sejima)氏(2010年)、カルマ・ピジェム(Carme Pigem)氏(2017年)、イボンヌ・ファレル(Yvonne Farrell)氏とシェリー・マクナマラ(Shelley McNamara)氏(2020年)、そして今年のアンヌ・ラカトン(Anne Lacaton)氏だ。

 ロー氏はゼーシュタット地区、さらに至るところで必要なのは「社会を構成するすべての人の視点なのです」と語った。

 映像は6月8日撮影。(c)AFP/Blaise GAUQUELIN