【7月6日 AFP】五輪の柔道でただ一人、3連覇を成し遂げている野村忠宏(Tadahiro Nomura)氏がAFPの取材に応じ、東京五輪ではテディ・リネール(Teddy Riner、フランス)が自身の記録に並び、「王者」としての地位を確固たるものにしてほしいと話した。

 1996年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪、2004年アテネ五輪の3大会連続で、柔道男子60キロ級の金メダルを獲得した野村氏は、歴史ある日本武道館(Nippon Budokan)でリネールが3連覇するところをぜひ見たいと話し、「強い柔道」での勝利に期待した。

 リネールは2016年リオデジャネイロ五輪の柔道男子100キロ超級決勝で原沢久喜(Hisayoshi Harasawa)に勝利し、五輪連覇を達成したが、内容は守備重視の低調なもので、会場の観客からはブーイングを浴びた。

 野村氏は、仮に日本選手の金メダル獲得を阻むことになったとしても、リネールには東京でもう少し堂々と勝ってほしいと話している。

「日本柔道が負けたら悔しいが、リネールが優勝したらうれしいという気持ちもある。私の理想は周りがブーイングする試合内容じゃなくて、絶対王者として強い柔道で3連覇を達成してほしい」

 リネールは昨年2月に影浦心(Kokoro Kageura)に敗れ、10年近く守ってきた国際試合の連勝が154勝で途切れた。野村氏は、リネールが「プライドが傷ついた」状態で大会に臨むはずだと話す一方、敗戦で気持ちを引き締め直したはずのリネールは、対戦相手にとって「すごく怖い」選手だとも考えている。

「目つきが変わってきた、体も変わってきた。今すごくシャープになっている」

「(体重を)絞り切っていない、コンディショニングができていない、調整不足のままじゃ負けるというのは本人が分かっている。相当プライドというのも傷ついたと思うから、それを取り戻すためにも東京五輪を勝ちに来ると思う」