■菜食主義者に優しい?

 しかし、この食材を肉と考えるべきかどうか。菜食主義者だけでなく、ユダヤ教指導者らも疑問を抱いている。

 イスラエルの高位ラビ(ユダヤ教の宗教指導者)評議会のエリエゼル・シムチャ・ワイズ(Rabbi Eliezer Simcha Weisz)師は、残虐な行いをせず、環境も壊さない食肉生産は「世界の問題を救う」ポジティブな展開だと述べた。

 ワイズ師は、培養チキンがいずれユダヤ教の食事規定に従ったコーシャ(清浄な)食品に指定されると予想している。

 ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)前首相の顧問をかつて務めた菜食主義活動家、タル・ギルボア(Tal Gilboa)氏は、イスラエルは培養肉技術で先行していると言う。同氏は、人口が「猛烈なスピードで」増加する中、培養肉が人々を菜食主義へ導く第一歩となることを期待している。

 サビールCEOは、培養肉について「一度世に出ると、スマートフォン革命と同様、ものすごい量が生産されるようになる」と予想する。「それが世界中の国の食糧安全保障を向上させることになるでしょう。持続可能性に優れ、動物に優しく、効率的なやり方です」

 映像は6月18日撮影。(c)AFP/Jonah Mandel