【7月3日 AFP】カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は2日、教会や英女王の像に対する破壊行為が国内各地で相次いでいることを非難した。

 こうした破壊行為は、先住民の子どもを収容していた寄宿学校の跡地から墓標のない墓が1000基以上発見されたことを受けたもの。この問題では、先住民コミュニティーなどからは怒りと悲しみの声が上がり、カナダの植民地時代の歴史が再認識されている。

 トルドー氏は記者会見で、「カトリック教会に対するものを含め、国内各地で行われている破壊行為は容認できず、間違っている」とする一方、「連邦政府や、カトリック教会のような組織に対する怒りは理解している」とも述べた。

 1日の建国記念日「カナダ・デー(Canada Day)」では、英植民地時代の痛ましい過去が振り返られたが、複数の都市では毎年恒例の祝賀行事が中止された。

 カルガリー(Calgary)では、10か所の教会が破壊行為を受けた。マニトバ(Manitoba)州ウィニペグ(Winnipeg)では、抗議活動の参加者らが、州議会にあるビクトリア女王(Queen Victoria)の像や、付近にあるエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の像を引き倒した。

 英首相官邸は、2人の女王の像が倒されたことを非難する一方、「悲劇的な(墓の)発見を受けて、われわれはカナダの先住民コミュニティーに心を寄せており、これらの問題を注視し、先住民問題についてカナダ政府に引き続き協力していく」と述べた。

 先住民寄宿学校に通っていたベリンダ・バンデンブルーク(Belinda Vandenbroeck)さんは地元紙ウィニペグ・フリープレス(Winnipeg Free Press)に対し、「この女王(ビクトリア女王)は、私たちの土地を毛皮商人に与えた」と述べた。「だから、私の心に女王が入る余地はない」 (c)AFP