【7月2日 CGTN Japanese】世界保健機関(WHO)は6月30日、中国をマラリア撲滅国と認定しました。1940年代の中国では3000万人のマラリア症例がありましたが、現在は症例なしの状態です。

 中国国家科学技術委員会は1967年5月、抗マラリア薬の開発のために500人以上の研究チームを発足させました。同チームに参加した当時37歳だった屠ユウユウ(Tu Youyou、「ユウ」は口へんに「幼」)さんは、道教理論家で医薬学者だった東晋時代(317年~420年)の葛洪(Ge Hong)が著した「肘後備急方」にヨモギ属の植物であるカワラニンジンについて「搾り汁を飲ませることでマラリアを治療できる」との記述があることに啓発され、実験を繰り返すようになりました。

 1973年年初には、カワラニンジンからの抽出物の結晶化に成功しました。この物質はアルテミシニンと命名され、マラリア治療の新薬の開発が進められることになりました。

 1974年にはミャンマーと国境を接する雲南省(Yunnan)南西部の耿馬タイ族ワ族自治県で悪性マラリアの感染が発生しました。そこで患者18人に対して臨床試験を行った結果、アルテミシニンの抗マラリアの効力が完全に証明されました。

 1976年にはカンボジアでマラリアの感染拡大が発生したことを受け、中国は予防治療チームを派遣しました。アルテミシニンの治療効果は再び実証され、多くの命が救われました。

 東南アジアやアフリカではここ数年、アルテミシニンを中心とする併用療法 (ACT)の普及により、数百万人にのぼる命が救われ、マラリア感染リスクが高い貧困地域の人々に生きる希望がもたらされました。

 屠さんは2015年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。屠さんは「中国の伝統医薬は偉大な宝庫であり、人類の健康にさらに役立てることができる」と語っています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News