【7月2日 AFP】ツール・ド・フランス(2021 Tour de France)で起きた大規模なクラッシュで、検察は1日、事故の原因をつくったとして逮捕された観客の女(30)が、自分の「愚かさ」を恥じ、事故に対する世間の大きな関心を心配していると供述したと述べた。

 事故は、仏北西部ブルターニュ(Brittany)地方で先月26日のレース初日に行われた第1ステージで発生。道路脇で女がテレビカメラに向けて掲げた段ボール製のプラカードに、集団の端を走っていたトニー・マルティン(Tony Martin、ドイツ)が避けきれず衝突し、後続の選手が次々と落車。1人が手を骨折したほか、多数の選手が負傷した。

 女は30日に逮捕された。身元は明かされていない。女が掲げたプラカードには「ゴー! おじいちゃん、おばあちゃん」と書かれていた。検察によると、自宅でテレビ観戦していた祖父母へのメッセージだったという。

 ブレスト(Brest)市で記者会見した地元検察当局によれば、女は「恥の気持ちと、自分の行為がもたらした結果への恐怖」を表明。「自らの『愚かさ』に対してメディアの注目が集まっていることを案じている」とも供述した。記者会見は国内の一部テレビ局で生中継された。

 ツール・ド・フランスは道路脇での観戦が許されているが、事故をきっかけに安全性と観客の行動をめぐる議論が沸騰。同時に、ソーシャルメディア上では女を中傷する書き込みが相次いだ。

 地元警察当局は記者会見で、フェイスブック(Facebook)への投稿で目撃情報を求めたところ、4000件以上のメッセージが寄せられ、中には「暴力の扇動すれすれ」のものもあったと説明。「ソーシャルネットワーク上では、合理的、冷静でなければならない」と呼び掛けた。(c)AFP