【7月1日 AFP】中国共産党が創立100年を迎えた1日、香港では警察がデモを一切許さない厳戒態勢を全域に敷き、かつて香港に認められていた言論の自由がもはや完全に失われたことが明示された。

 7月1日は、英国の植民地だった香港が1997年に中国に返還された記念日でもあり、香港の人々は2003年から毎年この日に大規模なデモや集会を開いてきた。だが、2019年の大規模な民主派デモ以来、中国は反体制派を徹底的に弾圧し、現在香港ではデモがほぼ全面的に禁止されている。

 香港警察は公共の場でのあらゆる集会を阻止するため、全警官の3分の1に当たる1万人以上を配備。当局は抗議デモを行えば逮捕すると警告した。

 昨年導入された香港国家安全維持法(国安法)は、政治的主張の多くを犯罪とみなし、高度な自治を認められてきた香港の政治・司法を一変させた。抗議デモは事実上違法化され、野党指導者も多くが当局に拘束・収監されたり、国外に脱出したりしている。

 1日昼までに街頭で確認できた抗議行動は、まだ非合法化されていない数少ない民主派政党の一つ「社会民主連線(League of Social Democrats)」の4人が行ったデモ行進だけだった。警官約200人が、政治犯の解放を訴える横断幕を手にした4人を監視し、香港政府の記念式典会場に近づかないよう行く手を遮った。

 また、警察はビクトリア公園(Victoria Park)を封鎖し、運動やピクニックを楽しんでいた人々に退去を命じた。

 その数時間後、民主派デモの常連で市民に「王おばあちゃん(Grandma Wong)」の愛称で親しまれている王鳳瑶(アレクサンドラ・ウォン、Alexandra Wong)さんが単独でデモを行い、警察に拘束された。

 香港公務員事務局の聶徳権(パトリック・ニップ、Patrick Nip)局長は、もはや香港は警察国家と化したのではないかと記者から問われ、「それは言い過ぎだと思う」と答えた。(c)AFP/Yan Zhao and Su Xinqi