【7月1日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領は6月30日、米南部テキサス州のメキシコ国境を訪れ、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の手ぬるい政策のせいで「何百万人もの」不法移民が米国になだれ込んでいると反移民論を展開し、支持者らにアピールした。

 トランプ氏はこのところ公の場への露出を増やしており、現地視察は退任後初めて。バイデン政権は移民の急増に直面しており、トランプ氏は自身の「厳格だが公正な」移民流入阻止策を緩和した結果だと真っ向から批判した。

 テキサス州の小さな町ウェスラコ(Weslaco)の保安官から説明を受けたトランプ氏は、「われわれの国境は今や、開放された本当に危険な状態にある。米国史上最も危険な国境だ。早急に元に戻すべきだ」と述べた。

 トランプ氏はその後、同州ファー(Pharr)の国境地帯で演説し、「何百万人もの」移民が流入してきていると主張した。

 メキシコから米国に不法入国を試みて拘束された移民の数は今年3月に直近15年間で最多となり、状況を軽視しているとバイデン氏を批判する声もある。ただ、実際の人数は数百万人ではなく数十万人で、多くはメキシコ側に送還されている。

 トランプ氏は、不法移民の越境地となってきたリオグランデバレー(Rio Grande Valley)に設けられた金属製の国境柵の未完成部分を、グレッグ・アボット(Greg Abbott)テキサス州知事や共和党議員らと視察。全長600キロ以上に及ぶ国境壁の建設や、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、カリフォルニアの各州への移民流入削減など、トランプ政権が推進した政策について「われわれは実に素晴らしい仕事をした」と自画自賛した。

 トランプ政権下で建設されたとされる国境壁のほとんどは、もともとあった壁やフェンスを補強・交換したもので、新たに建設された部分は全長80キロにも満たない。(c)AFP