【7月1日 AFP】バングラデシュで、隣国ミャンマーから川を渡ってたどり着き、浜辺で立ち往生して一時は溺れそうになっていたゾウ2頭が6月30日、内陸の安全な場所へと移された。

 バングラデシュ当局によると、2頭は群れからはぐれた雄と雌で、ミャンマー側から国境の川を渡ってやって来た。両国にまたがる森林は、絶滅の危機にひんするアジアゾウの数少ない生息地の一つだが、面積の縮小が続いている。2017年以降、ミャンマー軍の弾圧を逃れた少数民族ロヒンギャ(Rohingya)数十万人が暮らす難民キャンプができたことで、ゾウの移動ルートの一つが失われた。

 海岸沿いの町テクナフ(Teknaf)の住民はAFPに対し、以前ゾウに襲われて亡くなった人がいたため、おびえた人々がゾウ2頭を浜辺へと追い込んだと語った。大勢の見物人が集まる中、餌のない浜辺で4日間を過ごした2頭は、29日にはパニックを起こして海に入り、漁師らが船やロープを使って岸へ連れ戻す騒ぎとなっていた。

 国際自然保護連合(IUCN)のバングラデシュ支部は、昨年以降、同様の問題が起きたのは今回が4回目だと説明。「人間とゾウの摩擦を減らす措置を講じていくため、ゾウを監視できるよう、両国の対話が必要だ」と指摘した。森林当局によると、同域では昨年以降、少なくとも7頭の野生ゾウの死骸が見つかっている。(c)AFP