■華西は張りぼての村

 華西では自由に取材活動することはできない。現地でのAFPの取材には、政府のお目付け役6人が同行した。村のイメージダウンにつながらないよう、神経をとがらせているようだった。

 呉一族が今でも華西を牛耳っていることは明らかだ。現在の中国でビジネスを成功させるには、共産党とのコネや党への忠誠心が、やはりものをいうことを示している。

 華西集団の集産主義は高い評価を受けているが、華西集団そのものは「同族経営に他ならない」と、中国の政治問題を専門とする米国拠点のコンサルタント会社「シノインサイダー(SinoInsider)」のアナリスト、ラリー・オン(Larry Ong)氏は指摘する。

 とはいえ、専門家らは、華西は広告塔としてはまだ価値があるため、中国政府は、特に共産党の創立100年を迎えた今年は村を見捨てることはないだろうとみている。

「華西は、現代版のポチョムキン村(実態を隠すための張りぼての施設)のようなものだ」とオン氏は語った。「中国共産党が村を維持しているのは、破綻したイデオロギーを信奉し続けることを正当化するためだ」 (c)AFP/Sebastien RICCI