【6月30日 AFP】レバノン軍は来月1日から、軍用ヘリコプターを使った観光客向け遊覧飛行を開始する。同国は最悪の経済危機に見舞われており、財源を増やすことが目的。

 世界銀行(World Bank)はレバノンの状況を、1850年代以降で世界最悪の経済危機の一つとなっている可能性があるとしている。軍は兵士らに十分な給料を払うことが難しい状況だ。

 軍はウェブサイトで、民間人向けに「上空から見たレバノン(Lebanon... from above)」と銘打った15分間の遊覧飛行を提供すると発表した。

 遊覧飛行は、軍の所有するヘリコプター、ロビンソン(RobinsonR44レイブン(Raven)を使用。対象は3歳以上。1回につき最大3人まで搭乗可能で、料金は150ドル(約1万7000円)前後の現金払いとなる。

 軍関係者は遊覧飛行の目的について、「レバノンの観光業を新しい形で促進するとともに、空軍も支援することだ」とAFPに語った。

 経済危機によって兵士の給料だけではなく、装備などの軍事費全体が削減されている。

 軍は昨年半ば、食料価格の高騰を理由に勤務中の兵士に提供する食事で、肉の使用を取りやめている。

 昨年8月、首都ベイルートの港湾地区で200人以上が亡くなった大規模爆発が発生して以来、政府が機能していない状態が続いている。外貨準備高が急減し、燃料や電力、医薬品が不足している。

 フランスが今月主催した支援国会合では、20か国がレバノン軍に緊急支援を行うことに合意した。(c)AFP