【6月30日 AFP】恐竜絶滅の原因とされることが多い小惑星衝突の数百万年前から、恐竜が衰退していた可能性を指摘する研究結果が29日、発表された。研究では気候変動の影響を検証している。

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 恐竜を含む地球上の生物の4分の3が死滅したK-Pg境界(白亜紀と古第三紀の境)の大量絶滅を招いたのは、約6600万年前に現在のメキシコ・ユカタン(Yucatan)半島に衝突したチチュルブ(Chicxulub)小惑星だと考えられている。

 だが、新たな研究は、恐竜の多くの種が小惑星衝突の1000万年前までに減少していた可能性を示唆している。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された論文では、世界各地で発見された1600頭分の恐竜化石のデータに基づき、肉食・草食恐竜の特定の種の白亜紀後期における生息状況をモデル化した。

 その結果、種の減少は約7600万年前から始まったことが分かった。

 仏モンペリエ大学(University of Montpellier)進化科学研究所のファビアン・コンダミーヌ(Fabien Condamine)氏のチームは、6科250種近い恐竜の減少を追跡した。

 コンダミーヌ氏はAFPに対し、「多様性のピークは7600万年前ごろ」で、「その後、1000万年にわたり衰退した」と話した。

 研究チームは、衰退原因として二つの可能性を見いだした。

 第1に、種の減少ペースは、気温が最大8度低下した約7500万年前の地球寒冷化と一致する。コンダミーヌ氏によると、恐竜はそれまで数千万年にわたって続いていた温帯気候(主に温暖で湿潤な気候)に適応していたが、「他の大型動物同様、激しい冷え込みに適応できなかった可能性がある」。

 第2の可能性として、研究チームは草食恐竜と肉食恐竜の衰退に200万年の時間差があることを発見した。「肉食恐竜の減少は、獲物である草食恐竜の減少に連鎖して生じたのではないか」とコンダミーヌ氏は説明する。

 今回の研究では、気候の寒冷化と草食恐竜の多様性の減少が、恐竜の緩やかな衰退を招いた上、小惑星衝突後にさまざまな種が回復できない環境を形成したと結論付けている。(c)AFP