【6月29日 Xinhua News】中国科学院海洋研究所は28日、遠洋総合科学調査船「科学号」が、目標海域で多くの科学的発見を得たと明らかにした。中国が独自開発した多くの機器の水中試験を実施し、海底実験任務を完了させた。

 調査に参加した同研究所の王敏暁(Wang Minxiao)副研究員によると、同研究所は今回の航海で、深海底に水中実験プラットフォームを構築。科学者による深海での原位置実験が可能となり、深海生物の極限環境における適応メカニズムを解明するための信頼できる根拠を取得した。

 今回の航海では、深海での原位置実験を円滑に実施するため、多チャンネルラマン分析装置などの国産機器を同時に搭載し、水中試験を完了させた。独自開発技術による海底生物群集のラベリングと標識など多くの重要な技術的躍進を果たした。関連するデータやサンプルは今後、深海における生物食物連鎖の仕組み、炭素源と炭素吸収源の変動量、生命の起源など重要な科学的問題を解明するために用いられる。

 中でも深海着陸機「海洋の眼」は、独自開発された一連のラマン分光プローブを搭載。冷湧水の流体や噴出孔付近のガスハイドレート、自生炭酸塩岩などの各種目標物に対する長期間連続した原位置測定を実現し、メタンや硫化水素など重要なバイオマーカーの時空変化の規則性を再現した。暫定的な結果では、微生物が地球深部の岩石圏、海底付近の水圏、深海生物圏の間の元素変換を結びつけていることが示された。

 調査期間中、調査船とケーブルで結ばれた無人潜水機は延べ21回の潜水作業を行い、多くの貴重なサンプルとデータを取得した。

 今回の航海には、中国科学院や上海交通大学など9カ所の研究機関から16の先進的な研究チームの科学者が参加している。(c)Xinhua News/AFPBB News