【6月29日 AFP】韓国の釜山(Busan)地裁は29日、市職員2人に対するセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)事件で、強制わいせつなどの罪に問われた呉巨敦(オ・ゴドン、Oh Keo-don)前釜山市長(72)に対し、懲役3年の判決を言い渡した。

 いまだ家父長制の価値観が残る韓国社会では、注目を集めるセクハラ事件で有罪判決が相次いでいる。

 呉被告は昨年、女性職員2人へのセクハラ疑惑が発覚し、釜山市長を辞任した。

 その3か月後、同じく女性職員からセクハラで告訴されたソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン、Park Won-soon)前市長が遺体で発見された。自殺とみられている。

 呉被告、朴氏はいずれも、文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領率いる与党「共に民主党」所属。同党は今年4月、ソウル・釜山両市長選で大敗。来年の大統領選に向けて保守系の野党が勢いづく結果となった。

 呉被告は、女性との身体的接触はどれも偶然だったと主張したが、法廷に入る前に「すべての責任は私にある」と報道陣に述べた。

 釜山地裁は、呉被告が「優越的な立場」を乱用して職場でセクハラ行為を犯したと述べた。

 韓国は産業大国に急成長したにもかかわらず、いまだ保守的で、セクハラ被害者は、世間体のために声を上げないようしばしば圧力を受けている。

 しかし、検事だった徐志賢(ソ・ジヒョン、Seo Ji-hyun)さんが、葬儀の場で年上の同僚男性に何度も体をまさぐられたと明らかにしたことをきっかけに、2018年に世界的なセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」の韓国版が始まり、変化の兆しが表れている。(c)AFP