■大変革もたらす食材

 サビール氏によると同社の生産可能量は今のところ、1週間に「数百キログラム」だという。

 同氏は、米食品医薬品局(FDA)の認可を期待している。それにより生産量を「商業」規模に拡大すると言う。

「そうすれば、土地や水など多くの資源の使用量を減らせる。また製品を健康的で清潔に保てる」。同氏は工場方式で飼育されたニワトリの間で病気がまん延している状況を指摘した。

 国連食糧農業機関(FAO)の見通しでは、世界の食肉生産量は2027年までに15%増加する。

 培養チキンの技術を初めて開発したのはスーパーミートではない。昨年12月、シンガポールのレストランが世界で初めてラボで培養した鶏肉を販売した。

 一方、スーパーミートは用途の広い製品を開発した。筋肉や脂肪、結合組織などを混ぜてさまざまなピースを作った。ペットフードまである。

 飼い主と試食会に来たブルテリアは、与えられたスーパーミートのドッグフードをむさぼっていた。「ペットも、うちの肉が大好きです」とサビール氏は笑った。

 参加者は、培養チキンの出来の良さを認める。

 よく肉を食べると言うリサ・シルバー(Lisa Silver)さんは「もし同じものをレストランで注文できるなら、完全な菜食主義者になりますよ」と満足げに語った。「これは大きな変化になりますね」

 姉妹のアナベル・シルバー(Annabelle Silver)さんは菜食主義者で、「肉」を食べたのは数年ぶりだった。「残虐なことをしないで肉を食べられるなんて素晴らしい。パーフェクトです。これなら毎日でも食べられます」と太鼓判を押した。