【7月11日 AFP】新型コロナウイルスの世界的大流行で1年延期された32回目の夏季五輪、東京五輪が23日に開幕する。

 AFPスポーツが選んだ「五輪のレジェンド」シリーズ第2回。ボクシング、競泳、体操の伝説的選手5人を紹介する。

■リングの覇者、ラズロ・パップ:ボクシング(ハンガリー)

 サウスポーのラズロ・パップ(Laszlo Papp)は五輪で3個の金メダルを獲得した初のボクサーとなったが、リング上の相手だけでなく、祖国ハンガリーの共産党当局とも対決した。

 1948年ロンドン大会はミドル級、1952年ヘルシンキ大会と1956年メルボルン大会はライトミドル級を制した。3度目の金メダル獲得は、ソ連が支援するハンガリー政権に対する民衆の反乱(ハンガリー蜂起)が鎮圧されてからわずか数週間後だった。1957年、31歳で共産圏初のプロボクサーになった。

 ハンガリー当局は1965年、パップの世界タイトル挑戦を阻んだ。資本主義の牙城である米国で金のために戦うことを許さず、彼のパスポートを無効にしたのだ。

 パップは、無敗の欧州ミドル級王者として引退した。その後、世界ボクシング評議会(WBC)はパップに名誉チャンピオンの称号を与え、史上最高のアマチュアおよびプロファイターとして表彰した。

■反抗するオージーガール、ドーン・フレーザー:競泳(オーストラリア)
 
 ドーン・フレーザー(Dawn Fraser)は五輪の水泳種目を連覇した初の女子選手であり、男女を問わず同一種目を3回制した初の水泳選手。

 1956年メルボルン大会、1960年ローマ大会、1964年東京大会の100メートル自由形で優勝。メルボルン大会の4×100メートル自由形リレーでも金を取っている。

 五輪ではさらに4個の銀メダルも加わる輝かしい戦績だが、オーストラリア水泳連盟(Swimming Australia)とのいざこざでも知られている。

 ローマ大会では表彰式でチームの公式トラックスーツを着用しなかったなどの規定違反で、その後2年間の出場停止処分を受けた。

 東京大会でもチーム規定に逆らい、非公式の水着を着用。さらに皇居近辺に掲揚されていた五輪旗を盗んで警察に連行された。その結果、10年の競技出場を禁じられ、引退への道が早まった。