【6月29日 AFP】オランダ絵画の巨匠レンブラント(Rembrandt)の大作「夜警(The Night Watch)」(1642年)は、18世紀にアムステルダム市庁舎に移設された際、収まりきらなかったために四方を切り取られた。芸術史上、最大の破壊行為の一つと言えよう。

 それから300年以上の歳月を経て、所蔵するアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)が人工知能(AI)を用いて行った修復作業によって、名画はオリジナルの姿をほぼ取り戻した。

「見るのはとてもワクワクします」と同美術館のタコ・ディビッツ(Taco Dibbits)館長はAFPに語った。「子どもの頃から知っている絵画ですから、突然、時間を300年さかのぼった気分です」

 2019年に始まった大掛かりな復元事業で明らかになったのは、ダイナミックな原画の構図だ。

「夜警」は、復元前でも縦363センチ、横438センチの大作だったが、さらに切り取られていた左側が60センチ幅で再現され、そこに描かれていた男性2人と少年1人の姿が復活した。その結果、復元前には中央にいた2人の人物、フランス・バニング・コック(Frans Banninck Cocq)隊長とウィレム・ファン・ルイテンブルフ(Willem van Ruytenburch)副官が脇へずれた。

 アムステルダム国立美術館は、新型コロナウイルス流行対策が緩和され、最近再開されたばかり。復元部分が足された「夜警」は今後3か月間、同美術館で展示される。