【6月27日 AFP】タイの刑務所で25日、受刑者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が実施された。過密状態の刑務所で集団感染が発生しており、政府は対応を迫られている。

 刑務所では、ひつぎよりも狭い空間で寝起きしている受刑者もいる。これまでに刑務所で3万5000人以上の感染が確認されており、受刑者は就寝時ですらマスク着用を推奨されている。

 政府は全国の刑務所で、第1弾として中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)製ワクチン計30万回分の接種を開始した。

 首都バンコク南西のチョンブリ中央刑務所(Chonburi Central Prison)では25日朝、素足で、入れ墨を入れた受刑者らが、列を成し接種を受けていた。

 チャーン・ワチラデート(Chan Vachiradath)刑務所長はAFPに対し、「刑務所の過密が、この種の疾病の予防を困難にする一因となっている」と述べた。チャーン氏によると、これまでのところ約6300人いる受刑者は感染を免れているが、職員らは警戒を続けている。

 全国の受刑者はワクチン接種前にコロナ検査を義務付けられており、重症化リスクが高い高齢および基礎疾患がある受刑者が優先対象となっている。

 国際人権連盟(FIDH)が今年公開したデータによると、タイでは約31万1000人が収監されているが、これは刑務所の公式の収容可能人数の2.5倍以上に相当する。(c)AFP