【6月26日 AFP】中米エルサルバドルのナジブ・ブケレ・オルテス(Nayib Bukele Ortez)大統領は24日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(Bitcoin)用のデジタルウォレットを開設した国民には1人30ドル(約3300円)相当のビットコインを提供することを約束した。

 ブケレ氏の発議により、エルサルバドルの議会は今月、ビットコインをあらゆる商品やサービスの支払いに利用できる通貨として認め、すでに法定通貨として導入されている米ドルと併用する法案を可決した。これにより、同国では9月からビットコインが法定通貨となる。

 しかし、この動きには、世界銀行(World Bank)や国際通貨基金(IMF)、野党が抵抗を示している。

 ビットコインの導入を促進するため、ブケレ氏は国営テレビで24日夜、ビットコイン用のデジタルウォレット「Chivo」を開設した国民には、1人当たり30ドル相当のビットコインを提供すると発表。

 ブケレ氏は、「これは贈り物」だとして、「ダウンロードして登録するだけで、30ドル分のビットコインを受け取れる」と述べた。ただし、財源は明らかにしていない。

 同氏によると、人口650万人のエルサルバドルでは、すでに5万人以上がビットコインを使用している。

 ブケレ氏はツイッター(Twitter)で、ビットコイン法について国民の不安をあおっているとして野党批判を繰り広げている。さらに、ビットコインを使用するかどうかは任意であり、賃金や年金は引き続き米ドルで支払われると請け合っている。

 24日には、首都サンサルバドルに市内初のビットコインのATM(現金自動預払機)が開設され、米ドルをデジタルウォレットに入金できるようになった。

 ビットコインのATMは、この他に沿岸部の町エルゾンテ(El Zonte)にしかないが、多数の企業や個人が、公共料金から散髪、缶入りソーダなどの代金の支払いまで、あらゆる機会にビットコインを利用している。(c)AFP/Oscar BATRES