【6月26日 AFP】(更新)米情報当局は25日、公開が待ち望まれていた未確認飛行物体(UFO)の目撃情報に関する政府報告書を公表した。報告書は、目撃情報の大半について説明ができないと結論。一方で、その一部が異星人の宇宙船だった可能性も排除していない。

 米国家情報長官室(ODNI)が公表した報告書によると、2004~2021年に米政府の職員や情報源によるUFO目撃情報144件のうち、研究者が説明できたのは1件のみだった。情報の多くは、軍事訓練中に目撃されたものだという。

 UFO目撃情報のうち18件は、複数の角度から観察された情報も含め、強風の中、高高度で静止したり、推進手段不明の飛行物体が極端な高速で移動したりと、目撃者を驚かせる異常な動きや飛行特性を示していた。

 144件の中には、航空機のレーダーが捉えた鳥やドローンなどの自然物や人工物体、あるいは大気現象として説明できるものもあると、報告書は説明している。米国の防衛上の機密実験や、ロシアや中国が開発した未知の先端技術の可能性もあるという。

 しかし報告書は、正体を特定するには、より高度な技術を要すると考えられる目撃例もあるとしている。

 報告書は「未確認空中事象(UAP)」の目撃情報について、「単一の説明はできないだろう」と指摘。「現在のわれわれのデータでは、事案を特定の説明に結び付けるために十分な情報が不足している」としている。

 目撃された物体の一部が地球外生命体である可能性については言及されていないが、排除もしていない。軍や情報機関は、潜在的な脅威として地球外生命体について研究している。

「UAPは明らかに飛行安全上の問題を提起しており、米国の国家安全保障上の課題となる可能性がある」と報告書は述べている。

 報告書が対象とした144例のうち、唯一説明できたものは内部の気体が漏れてしぼむ大きな気球だった。

 公開された報告書は9ページだが、より詳細な報告書が機密情報として議会の軍事委員会と情報委員会に提供される。

 上院情報特別委員会(Select Committee on Intelligence)のマーク・ウォーナー(Mark Warner)委員長は、UFO目撃報告の頻度が2018年以降「増加しているようだ」と述べた。(c)AFP