■「次々と消えていく」

 昨年、北角(North Point)地区にある歴史的な劇場が、不動産開発業者に買収され、存続が危ぶまれた。放物線状のアーチ型屋根が特徴的な劇場は、1952年にオープンしたもので、香港映画の黄金時代だった1978年には、ブルース・リー(Bruce Lee)主演の映画『ブルース・リー/死亡遊戯(Game of Death)』にも登場した。

 先月、劇場を取り壊さず、遺産として再生することが決まった。

 だが、他の建物はそれほど幸運ではない。

 香港当局は最近、佐敦(Jordan)地区にある戦前に建てられた4階建てビルの取り壊しを許可した。

 もう一つ犠牲となりそうなのは、港に面した一等地にある中央郵便局だ。戦後のモダニズム建築は、きらびやかな商業施設に建て替えられる予定となっている。

「香港は大都会だから、私たちが子どもの頃に住んでいた建物などが次々と消えていく」とライさん。「私たちのミニチュア作りの技で、それらを再現することができればうれしい」

 2人は新型コロナウイルスの流行が収束したら、海外からの旅行者にも自分たちの模型を見てもらいたいと考えている。チャンさんは「私たちの作品が、香港の本当の姿を伝えることができればいいなと思っている」と話した。(c)AFP/Michael ZHANG