【6月25日 AFP】香港の民主派日刊紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」は24日、最終号で自分たちは「暴政の犠牲者」だと訴えた。

 蘋果日報は、26年にわたって中国の権威主義的な指導部を批判してきたが、昨年施行された国家安全維持法(国安法)によって廃刊に追い込まれた。

 中国当局が反体制派を排除しようとする中、高い人気を誇った蘋果日報の突然の廃刊は、香港の自由に対する新たな打撃であり、国際金融センターである香港が報道の拠点であり続けられるか不安が高まっている。

 多くの問題で中国と外交的に対立している米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、「香港と世界の報道の自由にとって悲しい日だ」と述べ、独立した報道機関を標的にするのをやめ、拘束した記者や報道機関の幹部を解放するよう中国政府に求めた。

 最終号の1面には、同紙本社前に集まった群衆に手を振って別れを告げる記者たち写真が掲載された。

 先週、国安法違反容疑で逮捕された副編集長の陳沛敏(Chan Pui-man)氏は、読者への別れのメッセージで、「蘋果日報は死んだ」と記した。「報道の自由は暴政の犠牲になった」

 香港各地で24日、蘋果日報の最終号を手に入れようと人々が販売所に殺到し、行列をつくった。発行予定100万部と発表されていたが、多くの販売所で数分で売り切れ、新たな入荷を待つ状態となった。

 労働者が多く暮らす旺角(モンコック、Mongkok)地区では、最終号を手に入れようと早朝から数百人が列をつくった。「蘋果日報、また会おう!」と声を上げる人もいた。

 並んでいた30歳の女性はAFPに「とてもショッキングだ」と述べた。「当局は国家安全維持法を使って、上場企業を2週間で解体できる」 (c)AFP