【6月25日 AFP】英国の72歳男性が、新型コロナウイルス検査で10か月間陽性が続き、確認されている持続感染の期間としては最長とみられると研究者らが24日、発表した。

 英イングランド西部ブリストル(Bristol)の元自動車教習指導員、デイブ・スミス(Dave Smith)さんは、検査で43回陽性となり、入院を7回繰り返した。自身の葬儀の計画も立てていたという。

 スミスさんは英BBCに、「諦め、家族を呼んで全員と和解し、別れを告げた」と語った。

 スミスさんと共に外出を自粛し、自宅で過ごしていた妻のリンダさんは、「乗り越えられるとは思えない時が何度もあった。地獄のような1年だった」と話した。

 英ブリストル大学(University of Bristol)とノースブリストルNHSトラスト(North Bristol NHS Trust)の感染症コンサルタント、エド・モラン(Ed Moran)氏によると、スミスさんの体内には、活性ウイルスが存在し続けていたという。

 スミスさんは、米バイオテクノロジー企業リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals)が開発した抗体カクテル治療薬を投与され、回復した。

「人生を取り戻したような気分だ」とスミスさんはBBCに語った。

 抗体カクテル治療薬を投与されてから45日後、最初の感染確認から305日ほどがたってからようやく陰性と判定された時、スミスさんは妻と一緒にシャンパンを開けたという。

 7月に開催される欧州臨床微生物感染症学会議(European Congress of Clinical Microbiology and Infectious DiseasesECCMID)で発表される論文によると、スミスさんのケースは「文献に記録されている持続感染の期間としては最長」とみられる。

 スミスさんは、肺疾患の既往歴があり、白血病から回復したばかりの2020年3月に新型コロナウイルスに感染した。

 スミスさんは英紙ガーディアン(Guardian)に対し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復後も息苦しさはあるが、国内を旅行したり、孫娘に運転を教えたりしていると明かした。「どん底を経験したが、今はすべてが輝いている」 (c)AFP