【6月24日 AFP】ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)元英首相が1921年に描き、晩年になってギリシャの海運王アリストテレス・オナシス(Aristotle Onassis)に贈った風景画が23日、米ニューヨークで競売に掛けられ、185万ドル(約2億500万円)で落札された。

 署名入りの油彩画「The Moat, Breccles(堀、ブレックルズ)」は、チャーチル自身が1921年12月付の随筆「Painting as a Pastime(趣味としての絵画)」で言及している作品。チャーチルは40年間手元に置いていたこの絵を、死の4年前に当たる1961年に友人のオナシスに贈った。

 オナシスはジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元米大統領の妻だったジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)と再婚したことで知られている。

 オナシスは、絵を非常に気に入り、娘にちなみ「クリスティーナ」と名付けた大型ヨットの船内に、ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)やポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)、エル・グレコ(El Greco)、カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro)の作品と並べて飾っていた。

 全長約100メートルのクリスティーナ号は、連合軍のノルマンディー(Normandy)上陸作戦に参加したカナダ海軍のフリゲート艦を、第2次世界大戦(World War II)後にオナシスが3万4000ドル(約380万円)で買い取ったもの。ケネディ夫妻をはじめ女優のエリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)やグレース・ケリー(Grace Kelly)、米石油王J・ポール・ゲッティ(J. Paul Getty)、エバ・ペロン(Eva Peron)ら、裕福な著名人の社交場となっていた。

 ジャクリーンとの再婚から7年後の1975年にオナシスが死去するとヨットは売却されたが、船内の備品は全て保管されていた。

 今回オークションを主催した競売会社フィリップス(Phillips)は、絵画を紹介するため、ニューヨークのショールームにクリスティーナ号の船内にあったバーを再現した。

 チャーチルの絵画の競売では、今年3月に競売大手クリスティーズ(Christie's)で米俳優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんが所有していた作品が828万5000ポンド(約12億8000万円)で落札されたのが最高額。(c)AFP