【6月24日 AFP】ハンガリーが導入した反LGBTQ(性的少数者)法をめぐり、同国と欧州連合(EU)との対立が激化している。EU首脳らとハンガリーは23日、同法をめぐり批判の応酬を展開。ドイツは、サッカー欧州選手権(UEFA Euro 2020)の対ハンガリー戦会場となるミュンヘン(Munich)のスタジアムをLGBTQの象徴である虹色にライトアップする案が欧州サッカー連盟(UEFA)に拒否されたことを受け、国内各地の施設を虹色に染めて抗議の意を示した。

 ハンガリーのオルバン・ビクトル(Orban Viktor)政権はこのほど実施した法改正で、未成年に対する同性愛の「助長」行為やLGBTQに関する教育を禁止した。

 EUのウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)欧州委員長は同法について、「性的指向に基づいて人々を差別することは明らか」だと批判。ハンガリー政府は即座に反論し、フォンデアライエン氏の発言は「残念」だと表明した。

 EU加盟国のうち15か国は共同声明で、同法に対する「深刻な懸念」を表明。ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は同法について、「間違っており、私の政治に対する理解と相反している」と批判した。

 23日にサッカー欧州選手権のドイツ対ハンガリー戦が行われたミュンヘン市は、ハンガリーのLGBTQコミュニティーに対し「目に見える形で連帯を示す」ため、試合中に会場のアリアンツ・アレーナ(Allianz Arena)を虹色にライトアップする計画を立てていた。だが、UEFAはこれが「政治的」な行為に当たると判断し、ライトアップを認めなかった。

 ミュンヘン市は対抗措置として、市庁舎に巨大なレインボーフラッグ6枚を掲揚し、会場近くの大型風力タービンや高さ291メートルのオリンピア塔(Olympic Tower)を虹色にライトアップした。さらに首都ベルリンのオリンピアシュタディオン(Olympiastadion)や、ケルン(Cologne)、フランクフルト、ウォルフスブルク(Wolfsburg)の主要サッカー競技場も虹色に染まった。

 ドイツ対ハンガリー戦ではキックオフ直前、ドイツのユニホームを着て大きなレインボーフラッグを掲げたサポーターが警備をかいくぐってピッチに乱入し、整列した選手らの前に飛び出す騒ぎがあった。サポーターはスタッフに取り押さえられ、ピッチの外に連れ出された。

 映像序盤は、ミュンヘン市庁舎に掲げられたレインボーフラッグと、市内各地の虹色の装飾。中盤は試合会場の外で行われたレインボーフラッグの配布と、キックオフ直前にピッチに乱入したサポーターを捉えた写真。終盤はフランクフルト、ケルン、ベルリンの競技場の虹色ライトアップ。いずれも23日撮影。(c)AFP/Yann SCHREIBER with Femke COLBORNE in Berlin