【7月3日 AFP】環境活動家の平田仁子(Kimiko Hirata)氏(50)は人生のほぼ半分を費やし、日本を石炭への依存から脱却させるために奮闘してきた。今は、温暖化に対して手をこまねいている時間はないと話す。

「期待していますが、時間がないので回り道していられない」と日本の環境NGO「気候ネットワーク(Kiko Network)」の国際ディレクターである平田氏はAFPに語った。

「(今)取り組まないと、われわれの未来は本当にない」

 世界3位の経済大国・日本で、平田氏は長年、このメッセージを訴え続けてきた。日本では2011年の福島第1原子力発電所の事故を契機に原発の操業がいったん停止され(その後、一部は再稼働)、石炭火力発電所の依存度が上がった。

 前月15日、平田氏は環境分野のノーベル賞(Nobel Prize)とも呼ばれる「ゴールドマン環境賞(Goldman Environmental Prize)」を受賞した。日本での石炭火力発電所13基の建設中止に貢献したことが主な選考理由だ。日本では現在、約140基ある石炭火力発電所が総発電量の3分の1近くを担っている。液化天然ガス(LNG)火力発電に次ぐ割合だ。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の調印国である日本は、2017年の温室効果ガス排出量は世界6位で、昨年、脱炭素を実現する目標年を2050年に前倒しした。

 これによって日本政府は気候変動対策に本腰を入れるようになり、「大きな一歩を踏み出しつつあると思う」と平田氏は話す。

 ここに至るまでに、気候ネットワークは脱炭素社会の実現に長年、取り組んできた。

 ゴールドマン環境賞の主催団体は、2011年に気候ネットワークが開始した「高度で多角的な反石炭の国内キャンペーン」により、日本の石炭発電所50基の建設計画のうち3分の1が中止になり、平田氏の主導した同活動で年間4200万トン分の二酸化炭素の排出を防いだとしている。