【6月23日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は22日、中国競泳男子のスター選手、孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)に対してドーピング違反による4年3か月の資格停止処分を言い渡した。これにより、孫の東京五輪出場は不可能となった。

 孫は2018年9月の抜き打ち検査で、自宅を訪れた検査官に対して血液と尿のサンプルを提出することを拒否し、側近に血液サンプルの入った容器を金づちで壊させた。2014年にも別のドーピング違反で3か月の資格停止処分を受けていた孫は、この違反で資格停止8年の裁定をCASから下され、現役続行も絶望的になった。

 ところが、検査官は無資格だったと潔白を主張する孫が、裁定を不服としてスイス連邦最高裁判所に上訴すると、裁判所は孫への偏見があったとしてこの件をCASに差し戻し、新たに選出されたパネルのもとで再審理が行われていた。

 しかし、新たなパネルも孫が「無謀な行動に及び」、2件のドーピング違反を犯したことは「十分に納得できる」と判断。孫が「検体の提出を回避や拒否もしくは怠り」、さらに「ドーピングコントロールに干渉した、もしくはその疑いがある」と結論づけた。

 4年3か月の処分は、CASが1回目の裁定を出した2020年2月28日にさかのぼって適用される。これにより、1500メートル自由形で世界記録を保持し、リオデジャネイロ五輪の同200で金メダル、世界水泳(FINA World Championships)で11個のタイトルを獲得している孫の東京五輪出場の可能性は消滅した。(c)AFP