【6月25日 AFP】セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)疑惑の渦中で2年前、米国での活動に幕を引いたスペインの伝説的オペラ歌手、プラシド・ドミンゴ(Placido Domingo)氏が欧州の舞台に戻って忙しい。80歳の今、自らの名誉を回復しようと決意している。

 米国での約20人の女性による告発をAP通信(Associated Press)が報じたのは、2019年の半ばだった。女性らは、ドミンゴ氏に無理やりキスをされたり、体を触られたり、性的な言葉を掛けられたりしたと訴えた。さらにドミンゴ氏は、他人のキャリアを左右する権力を盾にしているとも非難された。以降しばらくの間、同氏のキャリアは危ういとみられていた。

 しかし、テノールからバリトンに転向した今もオペラ界の王と称されるドミンゴ氏は21日、仏パリのガボーホール(Gaveau Hall)で歌った。パリでの公演は2019年1月以来だ。

 パリの前の数週間はロシア・モスクワや独ミュンヘン(Munich)などで歌い、今後イタリアやオーストリアでの公演も予定されている。

 今月上旬には、生まれ故郷マドリードの舞台に復帰してチャリティーガラに出演。自らのキャリアで最も感極まった瞬間だったと打ち明けた。

「舞台に上がると観客が総立ちで8分間、拍手喝采を続けてくれました。感無量でした」とドミンゴ氏はAFPに語った。「歌い始めたときは、感極まって歌えないかもしれないとさえ思いました」