【6月22日 AFP】香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は22日、香港の報道機関は政府を「転覆」させてはならないと述べた。民主派の香港紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」を、国家安全維持法(国安法)違反で取り締まったことに対し、米国から批判が出ていることを受けたもの。

 当局は先週、蘋果日報の資産を凍結。中国と香港への制裁を国際的に呼び掛ける記事を掲載したとして、編集長と最高経営責任者(CEO)が拘束された。

 蘋果日報と香港における報道の自由について聞かれた林鄭氏は、「香港政府を批判することは問題ないが、もし政府転覆をあおる活動を組織する意図があるならば、もちろん話は別だ」と答えた。

 報道機関の大半が国有で、厳しい検閲が行われている中国本土とは異なり、香港基本法では、表現の自由が保障されている。

 だが、しばしば暴動に発展した2019年の民主派抗議デモの後、中国は反体制派の根絶を目指し取り締まりを強化している。

 国安法に基づき、多くの政治的意見が犯罪とみなされている。また、蘋果日報への取り締まりを受けメディア各社は、どのような意見や報道が捜査対象となるのか疑問に思っている。

 林鄭氏は、蘋果日報の取り締まりは「普通の報道」への攻撃ではなく、同紙が中国の安全保障を弱体化させるような報道をしようとしたためだという、香港政府高官らの説明を繰り返した。

 これに対し、ある記者が政府が定義する「普通の報道」とは何かと質問すると、「この質問に対する答えは、あなたの方がよく分かっている」と述べた。(c)AFP/Jerome TAYLOR/Yan ZHAO