諸葛亮、杜甫、黄金仮面… 歴史ロマン漂う中国・成都が進める「博物館の街」
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【6月24日 東方新報】三国志の英雄、諸葛亮(Zhuge Liang、孔明)や劉備(Liu Bei)らをまつった武侯祠、「国破れて山河在り」の名文で知られる唐の詩人・杜甫が過ごした杜甫草堂。中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)は日本人にもなじみのある博物館が多い。古くから「天府の国」と言われてきた成都市は、歴史遺産を生かした「博物館の街」としてPRに力を入れている。
成都を中心とする四川省一帯は四方を山に囲まれた平野が広がり、外敵の攻撃を防ぎやすく、作物がよく育つ肥沃(ひよく)な大地。天によって人に与えられた「天府の国」といわれている。中央で繰り返されてきた戦乱から距離を置き、各時代の文化財や遺構が数多く残っている。
常住人口2000万人の成都市には160の博物館があり、国内では2番目に多い。2001年に発掘され「21世紀最初の大発見」といわれた金沙遺跡、3000年前の「黄金仮面」が出土した三星堆遺跡など、国内有数の遺跡の博物館も各地にある。
中国博物館協会副理事で成都博物館協会理事の朱淑禧(Zhu Shuxi)氏は「2020年に文化産業がもたらした価値は1809億9000万元(3兆857億円)に達し、成都市の域内総生産(GDP)の10%以上を占める。観光客は2億400万人に上り、観光総収入は3005億1800万元(5兆1235億円)。観光客の多くはいずれかの博物館を訪れています」とその重要性を語る。
今年3月には武侯祠で「大三国志展」が開幕し、三国志時代の金印や玉杯、石碑、人間の形をした銅縷玉衣(どうるぎょくい)など、日ごろ展示しない貴重な文化財が公開された。三星堆遺跡では新たな黄金仮面が見つかったと同月に発表され一大ブームが起こり、5月の労働節(メーデー)連休は三星堆遺跡博物館に多くの観光客が詰めかけた。デジタル文化が浸透している若者向けの「オンライン博物館」も広がっている。
今月27日開港予定の成都天府国際空港(Chengdu Tianfu International Airport)は成都博物館、三星堆博物館、四川省博物館など、7つの「プチ博物館」を設置し、成都を中心とした四川省の長い歴史と文化をアピールする。
成都市は第14次5か年計画(2021~2025年)の期間中、各地域にくまなく博物館を建設する構想を描いている。古代遺跡や文化・産業遺跡、歴史上の人物の居宅など、街を歩けば博物館に行き当たるような文化と観光の街づくりを進めている。(c)東方新報/AFPBB News