【6月22日 AFP】オーストラリア政府は22日、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)のグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)を「危機にさらされている世界遺産(World Heritage)」に登録する計画に対し、強く反対する意向を示した。

 ユネスコは21日、世界遺産に登録されているグレートバリアリーフについて、サンゴが気候変動の影響で激減していることから、危機遺産への登録を勧告する報告書の草案を公開した。

 第44回世界遺産委員会(World Heritage Committee)は、来月中国で開催予定。

 スーザン・リー(Sussan Ley)環境相は、国連(UN)職員が「態度を変えた」と指摘し、計画に異議を申し立てると述べた。

 リー氏は、ユネスコの計画は、豪政府が世界最大のサンゴ礁を保護するため数十億ドルを投じてきたことを考慮していないとし、「サンゴ礁の保護のために資金を投じていない国々に誤ったメッセージを送るものだ」と続けた。

 オーストラリアは、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標「2050年カーボンニュートラル」に抵抗している。スコット・モリソン(Scott Morrison)首相は、コモディティー輸出に依存する同国の経済を損なうことなく、「可能な限り早く」カーボンニュートラルを実現すると述べている。

 全長2300キロに及ぶグレートバリアリーフは、自然、科学、環境上計り知れない価値があると同時に、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)前には推定48億ドル(約5285億円)の観光収入をオーストラリアにもたらしていた。

 世界自然保護基金(WWF)の海洋部門責任者、リチャード・レック(Richard Leck)氏は「ユネスコの勧告は、オーストラリア政府はわれわれの最も偉大な自然遺産を守るために十分な努力をしていないということを明確かつ明白に表している」と話した。(c)AFP